日本画ってどんな絵画なの?絵画でひも解く日本画の定義と歴史

日本画ってどんな絵画なの?

 

 

 

「日本画」とはなんでしょう?水墨画浮世絵
を思い出す人も多いでしょう。

日本画の解釈としては、「日本の伝統的な画材と
技法によって描かれた絵画」です。

「日本画」は数千年の歴史を持っている伝統的な
絵画です。「日本画」という言葉は明治時代に

西洋から入ってきた洋画と従来の日本美術とを
区別するためにつけられた歴史用語です。

よく考えるとおかしいですよね?アメリカ画
フランス画などはないのに、日本だけ「日本画」
と呼んでいます。

中国にも「中国画」というのがあるようですが、
あまり有名ではありませんよね。

「日本画」という言葉は東洋美術史家である
フェノロサが言われた問われており、
「Japanese Painting」から「日本画」
出来上がりました。

十数年前この「日本画」について論議がされました。
「日本画」とは何か?どんな絵なのか?まず日本人が
「日本画」を知らないのです。

ゴッホは知っていても、横山大観は知らないのです。
この現象は美術館に理由があります。

日本画の歴史

日本画という言葉は明治時代からですが、
日本画の歴史は古く、平安時代まで遡ります。

平安時代から鎌倉時代にかけて、中国から
「漢画」という水墨画などが日本に入ってきました。

その時期から今まで「唐絵」と呼ばれていた
のが、「大和絵」とされ、「和画」が登場しました。

そして室町時代に入ると日本絵画史上
最大の画壇「狩野派」が誕生しました。

狩野派は漢画、大和絵などの技法入れ、
発展し、江戸時代末期まで400年
わたって発展しました。

狩野派と同時期に同じように有名な流派
として琳派が誕生しました。

琳派には古くからの家元制度や、
身分的な制約もなく自由で繊細な
画風が発展しました。

その後、明治時代に西洋画と区別のために
「日本画」が現れ、今までの「漢画」や
「大和絵」なども総称して「日本画」
と呼ばれるようになりました。

日本画が知られていない理由

バブル時代のころ、日本の美術館は来館者数
を上げようと思い、海外、特にフランスから
印象派の絵をたくさん借りて、印象派の展覧会を
開きました。

高齢の方が印象派が好きなのはこのためです。
フランス側では、芸術が高額で貸し出せること
が分かり、芸術家を大事にする国になりました。

日本といえば、外国のものばかり見て日本の芸術
に興味を示さなくなりました。日本美術の展覧会
がないからです。

昨今は美術館も独立法人になり、海外からの作品を
お金を出して借りれなくなったので、日本美術の
展覧会を開くことが多くなりました。

日本美術も少しずつ浸透していっていると思います。
美術大学でも日本画を専攻する生徒も増えていて、
油絵でも日本画らしい作品を描く方も多くなっています。

さて、この「日本画」という名称はどうお感じ
になりますか?

もはや今では、現代アートのギャラリーでは
「日本画」と言わず、「岩絵の具・麻紙etc」
という風に書かれます。

「日本画」という言葉は本当にあいまいで、
「絵画」でもなく「工芸」でもなく、区別が
難しいのです。

平面作品としての日本画

今は「平面作品」という風に枠組みに入れて
いただけていますが、「日本画」独自の良さ
をアクリルや油絵と比較するのもなんだか
おかしな話です。

海外では、「nihon-ga」と言われることも
あります。また「日本画」の一部はデパート
などで高額で取引され、「高い」というイメージ
があります。

また、絵の値段というのは、本当にいい加減で
日本では、「号〇万」として価値が付きます。

NYでは材料費+労力+愛着で値段がらしいです。
昔は「美術年鑑」という雑誌があり、作家が
お金を払って掲載してもらっていたらしいです。

そこに「号〇万」と書かれ、経歴や住所なども
掲載されたようです。

このように、イメージも区分けも複雑な
「日本画」ですが、その日本画に使われる
岩絵の具の魅力は奥深いものがあります。

「岩絵の具」は番号が付いていて、番号が低い
ほど粒子が荒くなり、明暗が暗くなり、番号が
高いほど粒子が細かくなり、明暗が明るくなります。

一番細かいのは「白(びゃく)」といい、
最も白に近いです。

詳しくは、「岩絵の具のページ」でお話しますが、
自然の岩石を使って作られている岩絵の具は
魅力たっぷりです。

岩絵の具のほかにも「コチニール」や
「水干(すいひ)」
などもあります。

自分で土から絵の具を作ったりもできます。
本当に奥深く面白い話なのです。

今は、ガラスに着色したりして天然のものより
人工的なものが増えていて色も豊富になっています。

天然だけだと色が限られてしまいますが、
人工的な岩絵の具を使うとより多彩な作品
仕上がることがあります。

しかし、天然が好きな人もいるので、一概に
人工的な岩絵の具「新岩絵の具」がいいとは言えません。

とにかく、「日本画」は勘違いされていること
が多く、日本人が知らないことが多いです。

こんなに興味深い画材なのに、明治時代から続く
「洋画万歳」の流れに未だ日本人は気づいて
いないのです。

美術界をよく知っている人は、「日本画」を
「平面」としてみてくれますが、美術大学を
出た人でさえ、「日本画」は「工芸」と思っている人
が多いです。

また、最近の風潮で「美人画」が流行っています。
日本画の線描を使った作品で、「浮世絵」を意識
しているのでしょう。

この風潮が強いのは京都です。京都は昔ながらの
「日本画」を意識して伝統を残しています

反対に東京はなんでもありの「日本画」です。
油絵と区別が付きません。それもいいのではない
でしょうか?

芸術に制限はありません。良ければいいのです。

不思議な話なのですが、京都の「日本画」と
東京の「日本画」はかなり違う
のです。

京都は伝統的で東京は前衛的です。東京の前衛的な
絵画は東京だけで知られていて、ほかの地域では
あまり知られていません。もちろん、外国にもです。

日本に「芸術表現」という意識が入ったのは
明治時代です。まだまだ歴史が浅いのです。

まだまだ浸透していません。これから「日本画」
がどんな流れになっていくかは、私はわかりません。

でも、今のような偏見などがなくて、日本独自の
美術になっているという未来を私は願ってやみません。

 

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