マレーシアアートエキスポで4年連続完売した話

マレーシアアートエキスポに出品しました。

その話は降ってわいてきました。

ある時、いつも展示させて頂いている銀座の画廊の
オーナーから「お話があるのよ」と言われました。

その話がマレーシアアートエキスポだったのです。

オーナーは「画廊の画家さんに紹介するなら、、」
と言って、ご自身で直接マレーシアまで渡航されました。

ご自身の目で「このアートフェアなら大丈夫」
確信され、私に紹介してくれたのです。

また、マレーシアの事も教えてくれました。

マレーシアは常夏ですが、冷房がかなり効いている事。

マレーシアでは「冷房」は「権力」なので、
冷房が効いている所は「高級」な所なのです。

ですので、常夏35度の国でも
長袖の服が必要でした。

出品一年目

1年目は何もわからず、オーナーに言われた通りの事をしました。

作品は直前に開催した個展の作品を持っていきました。
小さな作品なので、梱包してボストンバックに詰めていきました。

「銀座の個展で売れなかったら、マレーシアに行っても売れないよ」
等と言われました。

しかし、実際展示してみると、かなり好評でした。
ある夫婦が凄く気に入ってくれて、
一回観に来て、「beautiful,,」と言ってくれました。

2回目来られた時にお買い上げ頂きました。

マレーシアの通貨は日本通貨の4分の1です。
私は日本で販売している価格をつけたので、
マレー人にとってはかなり高価な値段だったと思います。

3点、お買い上げいただきました。
残りの作品はインドのギャラリーの方が
お買い上げになりました。

それで完売です。

出品二年目

一年目に完売した私は、意気揚々と
二年目に参加しました。

絵の点数も一年目より多く持っていきました。

しかし、前半はあまりお客様が来ず、
「今年はダメかな?」と諦めていた所に
VIPが来ました。

最初は別の作家さんの絵を熱心に
観ていましたが、その方の奥さんの目に
私の作品が写りました。

奥さんはじーっと私の作品を見つめ、
「これが欲しい」と言いました。

VIPの旦那様は、「ワン、ツー、スリー、、」と
作品数を数え、最後に「ALL」と言いました。

つまり10枚全部買うという事です。
大人買いです。

次に交渉が始まりました。
値引き交渉です。

大体30%ぐらいは値引きされます。
お約束です。

どんどん値段が下げられていくので、
不安になり、思わず「Plaese」と言って
頭を下げました(日本人っぽいですね、笑)

それで商談が決まり、見事完売になりました。

出品三年目

三年目は0号11枚が完売しました。

この年から1つのブースに2つの企画が入りました。
一つは従来の展示と、もう一つはORIENTという、
小品を扱う企画が出来ました。

私は両方ともに作品を展示しました。
比較的大きな作品の展示は2点売れましたが、
完売にはなりませんでした。

代わりに0号11枚が完売しました。

これはトラブルがありました。
11枚のうち、ある1枚が取り合いになりました。

あるマレー人の方が11枚の絵のうちの1枚を指して
「これが欲しい」と言いました。

それならと、「お取り置き」にしたのですが、
その方は翌日になっても戻ってきませんでした。

そんな時、また別のマレー人の方が同じ絵を指して
「これください」と言われました。

こちらとしては困ってしまいました。
前の方が前金を置いて行かれたわけでもなく、
翌日になっても来ない、、、

そこで私たちは判断して、後からの人に
販売しました。

すると、しばらくして前の方がお越しになりました!

どうやら体調が悪かったらしく、
絵を買いに来れなかったみたいでした。

困った事になりましたが、
実際に絵はもう販売済みなので、

状況を説明して諦めて頂きました。

その人は残念そうに帰っていきました。

その後、私の絵を見て、
「なんて綺麗なの?!」と言われるお客様が来て、
残りのすべてをお買い上げいただきました。

記念に一緒に写真を撮りました。

出品四年目

四年目はかなり変な年でした。

三年目に「もっと大きいのを描いて!」と言われたので、
F20号の作品を描きました。

しかしながら、期限までに仕上がらなくて
マレーシアのホテルで仕上げようと思っていました。

トランクに絵の具などを入れて、旅立ちました。

さて、マレーシアについて制作をしようと思ったら、
「筆がない!」

筆がないと絵が描けない!と焦りましたが、
ここはマレーシアの繁華街、東京でいうと銀座です。

画材店ぐらいあるだろうとネットで探しました。

すると、近くにありましたが、外国で道が分からない上、
方向音痴の私は、不安になりました。

そこで私はタクシーで行くことにしました。
ホテルからタクシーを呼んでもらいました。

タクシーの運転手は「往復で60リンギット」と提示してきました。
60リンギットだと日本円で2000円ぐらいです。

まあいいか、と思いお願いしました。

すると乗車途中で「交通渋滞だから」と言って、
高速に入ってしまいました。

そして高速料金を5リンギットを払えと言われ、
渡すとおつりを自分のポケットに入れてしまいました。

「この人、やばいかも」

そう思っているうちに画材店に到着し、
デパートの画材売り場まで案内してくれました。

無事に筆を買い、戻ってくると、
「俺、お寿司が食べたい」とか言い出して、
「お金ありません」と断りました。

日本人ってバカにされているのですね。
いくらでもお金を出すと思われているのですね。

帰りのタクシーの中で、
「私トイレに行きたい」というと、
「トイレの近くに車を止めるから、あなたのipatを置いていけ」
と、とんでもない事を言われたので、トイレは諦めました。

帰りは何と5分でホテルについてしまい、
行きの大回りは何だったのだろうと思いました。

マジで騙されました。

そんなこんなで、アートフェアが始まり、
私はホテルで手を加えた作品も飾りました。

しかし、売れない!

最終日まで全く動かず、お客様もまばらでした。

この状況を画廊のオーナーに相談したところ、
「大きい絵を外してみたら?」と言われ、

代わりに小さい絵をたくさん飾りました。

もう最終日の夕方になって、諦めかけた時、
一組の老夫婦が会場に来られました。

「プライスカードは?」と聞かれたので、
「どのアーティストが好きですか?」と言いました。

すると、私の作品を指すではないですか?!

「これは私の作品です。」と言って、説明すると
「全部ください」と言われました。

しかし、値切りが入りました。
しかも半額に!

もう最終日の夕方、、、。
これから別のお客様を期待するのは、難しいと判断して、
半額で売買しました。

一応、完売ですが、大きい絵が残りました。
せっかく詐欺にあいながら、筆を買いに行って
描いた作品が残ったのです。

これには落胆しました。

購入してくださったお客様の名刺を見ると、
マレーシアに個人美術館を持っている大金持ち

何で値切るのでしょうか?
ショックで少し寝込みました。

いろいろあったけど、体力的にも精神的にも
とても大変だったけど、マレーシアはとても楽しかったです。

空港で換金する時、大金だったので住所とか名前を書かされました。
ちょっとびっくりしましたけど、逆に誇らしい気分になりました。

帰国してから「来年も、、、」と思っていたのですが、
マレーシアアートエキスポの運営方法が変更になり、
私たちのギャラリーは参加が許されなくなりました。

残念なことに、マレーシアで展示をする機会を失ってしまいました。

マレーシアの人達はとても親切で、妬みがなく、
陽気で明るい方ばかりです。

日本のどろどろした感情とは無縁です。

又、いつの日にかマレーシアに行ってみたい
思っています。

 

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

 

 

 

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