日本画の三大画壇~院展・創画会・日展~

日本画の三大画壇~院展・創画会・日展~

A palette of paintings lined up.
The palette after the painting is actually finished.

嫌な話かもしれませんが、「日本画」の権威
についてお話します。

日本画の世界には「画壇」というものが
付きまといます。

「院展」「創画会」「日展」の3大美術団体です。
その中で「日展」だけが日本画専門画壇では
ありません。

「院展」「創画会」は日本画のみです。
この三団体は大学とつながっていて、
芸大美大の卒業生が入選しやすい傾向にあります。

もちろん外部からも入選します。

しかし大学時代に教わった先生方が審査員だと
入選しやすい事もあるでしょう。

洋画や水彩画の公募展に比べて
なかなか入選しづらいのが特徴です。

洋画や水彩画の美術団体は「みんな入ろうよ」
というコンセプトに比べて、

日本画は「選ばれた人」というイメージが強いです。

まず、院展ですが、私立の美術大学には院展の教授が
少ないです。

やはり東京芸大に集中しています。

もちろん、実力さえあれば美大を出ていなくても
他の大学でも入選します。

しかし徒弟制度が強い為、院展の同人(会員)
の方についていると出世は早いかもしれません。

また院展で「足立美術館賞」などを取ると
賞金500万円ほどいただけます。

そのほか院展に入っていると、絵が売れること
が多い
です。

院展は技術力が必要なので、しっかりとした
作品を作る事が出来る人が多いです。

メランコリックな作品が主となっています。

次に創画会ですが、創画会はアバンギャルドな
日本画
です。

「世界に通用する日本画」というコンセプトを
かがげているので、斬新な作品が多いです。

売れっ子になっていく作家も多いので、
スターがいます。

でも、賞をとっても賞金などは一切ないのです。
私は武蔵野美術大学出身なので、教授はほどんど
創画会でした。

必然的に創画会に出品しました。

創画会は「京都創画」と「東京創画」に分かれていて、
応募する作品の大きさも違います。

あまり仲が良くないといううわさもあります。

絵柄も全然違います。聞いた話ですが、
「京都創画」に出品している作家さんが賞を
取ったら、カミソリが送られてきたとのこと。

怖いですね。

最後に日展ですが、日本最大の美術団体と
いうことで知名度は高いです。

賞を取ると賞金がもらえます。

いろいろ日展に悪い噂がありますが、
この実話を聞いていただければ、
結構公平に審査していることが分かると思います。

【ある二人の青年と日展】

二人の青年の日本画家がいました。

一人は会社に行きながら、夜自宅で日展のために
絵を描いていました。

もう一人は親から仕送りをしてもらい、
仕事もせずに日展の絵を描いていました。

二人目は時々、日展の会員の先生に自宅に
来てもらい、指導を受けていました。

会社に勤めている彼は、美術大学に入学したかった
らしいですが、受験に失敗。専門学校に進みました。

仕送りをもらっている青年は美術大学に進み、卒業
しました。

実家がお金持ちだったので、日展の先生にもいろいろ
贈り物をしていたそうです。

それで結果ですが、働きながら描いていた青年が「入選」
仕送りをしてもらっていた青年は「選外」でした。

先生への贈り物も効果なかったようですね。

二人とも同じ年だったので、ライバル心が強く、
仕送りしてもらっていた青年は絵を辞めてしまいました

このように、日展は公平に審査していることが分かりました。
日本画に限ってですが、そんなにブラックではないようです。

院展・創画会・日展は、洋画・水彩画の美術団体とは違い、
権力があります。

洋画や水彩画の美術団体はすぐに出世するし、
賞も若い人にはすぐ渡します。

全体的に高齢化しているので、若い力が欲しいのです。
だから簡単に賞をもらったからと言って、
いい気になってはいけません。

ちなみに私も日本画以外の美術団体に出品したところ、
1回で準会員になりました。

その代わり、お金を支払わされました。

もちろん、日本画の美術団体も年会費
支払います。

美術団体ってお金がかかるんですよね。

そのうえ、日本画以外の美術団体では
受付当番とかいろいろ雑務もあり、
所属するのも大変です。

院展・創画会・日展の場合、会員などになると、
大学の教授になる話も出てきます。
(油の団体でもそんな話は聞いたことがありますが)

創画会は賞を取ると賞金は出ないですが、
代わりに「文化庁海外派遣研修」の推薦資格が
いただけます。

「文化庁海外派遣研修」とは、1年間ぐらい
好きな国にフリーで生活できる制度です。

お金は文化庁が出してくれます。
などなど、いろいろなお話も出てきます。

美術団体の話をすると、油の人などは
「あんなの出さなくていい」と言いますが、
日本画の美術団体はまたちょっと違うのです。

日本画は入選すると日本橋高島屋や三越などで
展示されます。

かなりの高額の値段で取引される機会を
与えられます。

美術団体に所属している方には反感を持たれるかも
しれませんが、私の知っている限りの情報をお伝え
しました。

お気を悪くさせたら、申し訳ございません。
これから美術団体に応募するという方にとっての
少しの情報をお伝えしたかったです。

参考になりましたら、幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

 

 

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