必見!岩絵の具の使い方、溶き方

他の絵の具とちょっと違う岩絵の具の使い方


岩絵の具は粉状の絵の具です。
特徴的には番号がついていて、数字が高くなるほど、
細かく白くなっていきます。

一番白い色は「白(びゃく)」と呼びます。
淡く白い絵の具はとても美しいです。

逆に小さな番号荒くなり、色の砂のようで
明度が暗く、これはこれで美しいです。

思わぬマチエールが出来たり、
意外と楽しいものです。

岩絵の具を使うには、膠(にかわ)が必要です。
「膠」は岩絵の具と麻紙をくっつける糊の役割
しています。

膠は主に牛などの動物から搾取したコラーゲンです。
これが糊の役割をしています。

ちなみに水彩絵の具は顔料(岩絵の具ではない)
アラビアゴムという糊を使って作られています。

そしてチューブに入れられて販売されています。
油絵具も顔料に乾性油を糊として混ぜてチューブ
売られています。

岩絵の具を溶く

岩絵の具を使うには、を溶いて混ぜる必要が
あります。

岩絵の具はボリュームがあるので、
紙パレットなどではなく、絵皿を使います。

絵皿に岩絵の具を適量入れ右手の中指
岩絵の具と膠を良く練り合わせます。

良く練りあがったら、を入れて好みの濃さ
調整します。

特に膠の量が難しいかと思いますが、
通常は1対1(岩絵の具1に対して膠1)
なっていますが、

膠を入れすぎると後で困りますので、
少しずつ入れていくのがいいかと思います。

作家によっては、濃い目の膠少量入れて
岩絵の具と良く練り合わせ、たっぷりの水
入れて使うというやり方もあります。

また、膠の濃度の調整が難しいなら、
市販のアートグルーを使うのも良いでしょう。

アートグルーなら一定の濃さを保持できますので、
「膠が薄すぎた」とか「膠が濃すぎた」とか考えなくて
済みます。

ただ、アートグルーは最近の接着剤なので、
将来何百年と月日を経た後、どうなるか検証されて
いません。

その点、膠は昔から使われているので、
その強靭さは証明されています。

膠は、描いて完成した絵をはがして、
霧吹きで水分をかけて表面を表にして丸めて
保存して何十年たっても、絵の具は剥落しません。

膠のしなやかな強靭さが伺えます。

アートグルーの強靭さは現段階では明らかですが、
将来の事はわかりません。

どちらを使うかは、作家本人の選択によると思います。
ちなみに私は、作品を海外に送る事が多いのでアートグルー
使っています。

湿度や温度に耐久出来るのは、膠よりアートグルーのほうが
いいと思ったからです。

やはり、岩絵の具を溶くにはの話は外せないですね。

動画を張り付けておきます。
岩絵具の溶き方 – Bing video

岩絵の具を塗る

岩絵の具を塗るのにも、コツがあります。

背景を綺麗に塗りたいという方が多いのですが、
背景を綺麗に塗るには、まず細かい粒子
岩絵の具が必要です。

荒い粒子の岩絵の具を綺麗に塗るには、
何度も塗らなくてはいけないので、
結構な絵の具量が必要になります。

荒い絵の具の塗り方の動画をアップします。
(61) 【日本画】岩絵の具を綺麗に塗る方法/塗り方 初心者でも簡単!膠水の分量とコツ 膠彩畫 – YouTube

初心者は、10番から12番ぐらいの
細かい絵の具から挑戦するのがいいと思います。

まず、細かい岩絵の具を溶いて、
絵刷毛に付けます。

この時、水分と絵の具絵刷毛にしっかりついて
いることが大切です。

そして画面にはそっと絵刷毛を乗せます。
左側から右側へ刷毛を動かして塗っていきます。

この時、あまり力を入れすぎるムラになります。
あくまでそっとです。

そして、絵刷毛についた岩絵の具が画面に落ちるのを
待つように、ゆっくりと塗っていきます。

そうするととてもきれいな背景が出来上がります。

背景以外のところは刷毛ではなく、
則妙筆(そくみょうふで)や彩色筆(さいしきふで)、
削用筆(さくようふで)などを使って描いていきます。

実際にモチーフを描くときには、細密描写
なども出来ますが、たらしこみなども日本画独特
の技法です。

たらしこみは特に琳派の時代に多く用いられた技法です。

たらしこみとは、一色塗ったところに乾かない
うちに別の絵の具を置くという技法です。

偶然性を狙った技法ですが、とてもいい感じ
仕上がります。

たらしこみや胡粉の塗り方などについては、
別のページで紹介します。

岩絵の具を洗う

日本画の技法の中で「洗い」という技法が
あります。

「洗い」は一度塗った絵の具が乾いた後に、
水またはお湯で洗う技法です。

「洗い」については、「日本画の技法~洗いと膠抜き~」
のページでご紹介しましたが、ここでも
少し触れたいと思います。

「洗い」の技法はとても人気があり、
「洗い」で描かれた作品は結構売れます。

なんかも一度貼って、じっくり乾かした後
水で洗うといい感じに箔が残り、綺麗な
マチエールが出来ます。

興味のある方は一度実験してみてください。
意外なマチエールが残り、とても楽しいです。

あと、失敗した時などにも使えます。
絵の具はもったいないですが、鉄線描の状態まで
戻すことが出来ます。

いっぱい絵の具を使って描いて描いて失敗した時、
どうしようもなくなった時などにも勇気を出して
洗うとまた一からやり直せます。

また、具象の絵背景を塗りたいけどモチーフには
塗りたくない、という時にも使えます。

鉄線描の上から絵の具を一度全面に塗り、
乾かないうちに筆で背景ではないところの
絵の具を拭うという技法です。

動画をアップしておきます。

(57) 【日本画】岩絵の具での背景〔バック〕の塗り方! 膠彩畫 – YouTube

この方法だと、背景はきれいに塗れて
かつモチーフも汚さないということが出来ます。

朱の溶き方、黄目を洗う

は他の岩絵の具とは違って人工の絵の具です。
硫化水銀と硫黄を混合してできた色ですので、
有害物質です。

ですので「絵の具を焼く」という事は避けてください。
有毒ガスが出てしまいます。

朱を溶くには、濃い目の膠を使います。
また朱は膠とかアートグルーと相性が悪いので、
うまく溶かないと朱の粉末が浮いてしまいます。

もし、朱が浮いてしまったら、一度自然乾燥させて
乾いたら再び膠を入れて溶きます。

そうすることで朱全体に膠が回ります。
朱はとても伸びがいいので少量で大丈夫ですが、
膠の混ぜ方を工夫しないといい色が出ません。

そして、膠で朱を溶いた後「黄目を洗う」
という事をしないと、発色しません。

「黄目を洗う」方法としては、膠で溶いた後、
水を入れて混ぜ、5分ほど放置します。

そうすると黄目の部分が朱分離して浮いてきます。
それを他のお皿に分けておきます。

この所作を3回ぐらい行います。そうすると
朱の本来の色が出てきます。

朱を塗る時は、銀箔の横などは避けてください。
硫黄が入っていますので銀箔が焼けてしまいます。

焼けてもいいならいいのですが、繊細な仕事
している人は気をつけましょう。

詳細の動画がありましたので、貼り付けます。
(57) 【日本画】本朱の溶き方/塗り方! 〜捨て方まで初心者にも分かりやすく解説〜 膠彩畫 – YouTube

岩絵の具を焼く

天然の岩絵の具に限りますが、岩絵の具
焼いて黒くすることが出来ます。

小さなフライパン天然岩絵の具を入れ、
しばらくコンロにかけます。

すると、例えば天然群青の場合、12番でも
黒群青のような色になります。

細かい絵の具で黒い色が欲しい時はこんな風に
工夫します。

ただ、天然岩絵の具に限ります。などは焼くと
有毒ガスが出ますので、絶対に焼いてはいけません。
気を付けてください。

では、最後までお読みいただき、
誠にありがとうございました。

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