日本画の技法~胡粉の作り方~

日本画の特徴~胡粉の作り方~

日本画の最大の特徴といえば「胡粉(ごふん)」
でしょう。

よく「こふん」という人がいますが、
「ごふん」です。

胡粉とは、ハマグリや牡蠣の貝殻から作られた
「白い顔料」です。

箱に入っていて、天日で乾かしたような荒い塊です。
この胡粉の溶き方を今回は紹介します。

胡粉の作り方

まず、胡粉を乳鉢に入れてよく擦ります。

量はすり鉢の3分の1ぐらいです。
塊が粉になるまで、良く擦ります。

擦れたら、そこに膠を入れます。
この時、乳棒に垂らすようにして膠を付けます。

そして、乳棒に擦った胡粉をつけていく
ようにします。

膠が足りなかったら、随時膠を乳棒に垂らし、
胡粉を付けます。そうすると乳棒にたくさん
胡粉が付きます。

それを集めて、団子にします。指に胡粉が
ねちゃねちゃとつくようでしたら、

胡粉が足りないので、別の乳鉢で胡粉を擦って、
足していきます。

耳たぶぐらいの硬さの団子が出来たら、
それをお皿にたたきつけます。

これを「百たたき」と言います。

ペンペンと音がするぐらいたたきつけます。
これは、膠が胡粉にしみとおるようにするためです。

胡粉の団子にがでてきたら、百たたきは
おしまいです。

この後、あく抜きをします。

お皿に胡粉の団子を置き、なみなみとを注ぎます。

そして、電熱器にかけ、50度ぐらいになるまで
加熱します。

指を入れて、「熱い」と感じたら、火を止めます。
これであく抜きが出来ました。

そして、胡粉の団子をお皿のわきに張り付け、
水を少しずつ入れて指で溶いていきます

そうして胡粉の出来上がりです。

作った胡粉は夏なら1日冬でも2~3日が限度で
もう使えません。膠が腐ってしまうからです。

胡粉の作り方の動画を添付します。
胡粉の作り方

ですので、夏だと制作のたびに胡粉を作らなくては
いけません。

胡粉作りが出来て、やっと日本画家として一人前
と言われています。

しかもそれは20年ぐらい修練しなければいけないとも
言われています。

現代では防腐剤の入ったチューブの胡粉なども
売っています。

また、アクリル絵の具で「胡粉」というのも
発売されています。

日本画専門の画壇などに応募するには、
これらは使わないほうがいいでしょう。
そうでなければ任意で使ってもいいかもしれません。

「見る人が見ればわかる」と言われているので、
あまりお勧めできませんが、私はチューブの胡粉を
使っています。

自由でいいと思います。

こだわるのなら胡粉を作ってみてもいいし、
こだわらないならチューブでいいでしょう。

腐れ胡粉の作り方

その他に、胡粉には「盛り上げ胡粉(腐れ胡粉)」
というのがあります。

これも「盛り上げ胡粉」として販売していますが、
昔はこれを手作りしていました。

私の恩師は、恩師の友人が戦争に行った時、
この腐れ胡粉をいっぱい作って戦地へと
旅立ったそうです。

友人は戦争で亡くなり、残された腐れ胡粉を
恩師は大切に使っていたとのことです。

腐れ胡粉の作り方は、まず粗悪な胡粉
を使います。

(胡粉にはランクがあり、一番粗悪なのは花胡粉、
一番高級なのがハマグリの胡粉です。)

団子状にするのは、従来の胡粉の作り方と
同じですが、百たたきをした団子状の胡粉を
お皿に入れて水を張ります

数日間放置しておいて腐ってきたら、水分を取ります。
そのままさらに放置し、硬化するまで待ちます。

硬化した胡粉を取り出し、金づちで粉砕します。
そしてまたすり鉢でよく擦り、少量のを入れた後、
膠を入れます。それから水で溶きおろし、筆につけます。

粘着質の胡粉が出来上がっていますので、
筆で描くと、が出来ます。

これが盛り上げ胡粉(腐れ胡粉)です。
恩師の友人は硬化した胡粉を残していったのでしょう。

現代では「盛り上げ胡粉」として販売されているので
、こんな手間は要りません。

興味ある方はぜひ作ってみてください。

私の主催する「日本画ワークショップ」では、
盛り上げ胡粉の作品もあります。

盛り上げ胡粉をペインティングナイフ
麻紙の上に伸ばします。

この時、ペインティングナイフでいろいろな
凸凹が作れます。

ナイフで引っかいたりしてもいいでしょう。
複雑にしたほうがより面白いです。

盛り上げ胡粉が乾いたら、顔彩を使い、
着色していきます。本当に自由にしていただいて
構いません。

感性の赴くまま、色を置いていってください。

顔彩が盛り上げ胡粉の凸凹にたまる感じとか、
あるいは、盛り上げ胡粉にしみこむ感じなども
楽しんでいただけたらと思います。

今回は胡粉の基礎の作り方をご紹介しましたが、
現代ではいろいろな便利グッズが出ています。

大学では、古典的な技法を習いますが、
これから日本画を描く人は任意で選んでいいと
思います。

古典的な日本画が好きな人、現代風にアレンジする人、
いろいろ居ていいと思います。

あまり、日本画を難しく考えないで自分に合った
スタイルで描いていっていいと思います。

私の著書の「日本画ワークショップ」はAmazonで
販売
されています。実物は完売してしまいましたが、
今はkindle版が出ています。

ご興味ございましたらぜひご購入いただけると幸いです。

↑ここをクリックするとAmazonに飛びます。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

「日本画の技法~胡粉の作り方~」への4件のフィードバック

  1. 春のいくら

    こんにちは、技法の検索をしているとよく先生のブログにたどり着きます。いろいろなテーマで興味深い記事を読ませていただいています。感謝です。著書のkindle版がアマゾンで表示されないのですが今後またkindle版の復活はありますでしょうか?お返事いただければ幸いです。

    1. こんにちは。私のブログをご購読頂き、誠にありがとうございます。「日本画ワークショップ」は現在増刷はしていませんが、来月7月15日以降でしたら、kindle版が発売されます。少々お待ちください。販売開始されましたら、是非ともご購入いただけますと幸いです。よろしくお願いいたします。

      1. 春のいくら

        お返事ありがとうございます。7月15日以降にkindleで購入させていただきます。今後もブログ記事を楽しみにしています(^^)/

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